NMDOA 安全へのガイドライン 北マリアナ諸島ダイビング事業者組合

NMDOA Standards for safety diving

はじめに

NMDOAは1994年に自主的に安全基準を定めました。 この規準は内容をよりわかりやすくするために2002年4月に改訂と再編集したものです。 NMDOAの会員ショップのメンバーは必ずこのガイドラインを逸脱しない範囲で、ダイビングオペレーションを行ってください。

各指導団体やそれぞれのショップで定められた基準がある場合は、これと照らし合わせ、より厳格だと思われる方を選択してください。

このガイドラインはコンディション良好時を想定して作成してありますが、海況は日々刻々と変化していきます。 その日の海況を的確に判断し、時にはさらに厳しい自己基準を設ける必要があります。 ひとつの事故、ひとつのクレームが北マリアナ諸島全体に及ぼしかねない影響をよく考え、常にプロフェッショナルとして仕事に取り組むようにしましょう。

ダイビング業界には利益を重視するあまり、安易に講習期間を短縮したり、不用意に人数比を多くしたりするなど安全性を損ねたオペレーションを行う業者が存在し、一般消費者のダイビングへの不信感はこうした業者によってもたらされています。 人数比が多くなれば安全性は低下しますし、安易な講習によりダイバーの技量が落ちれば、それはファンダイブの際にリスクとなって私たちに戻ってきます。 安易な営利優先主義によってお客様の生命を脅かしかねない、こうした振舞いの業者を廃絶していけるように会員ひとりひとりが心を引き締めていきましょう。

自分の海況判断に自信が持てないとき、不慣れなコンディションで心配なときは、他店のスタッフであっても気軽に相談でき、相談された側も惜しみなく安全のノウハウを伝えていけるような現場を作っていきましょう。

第一条 一般

Ⅰ ダイビング活動に関する責任

このガイドラインの内容について疑問がある場合には、安全推進・倫理委員会に詳細を確認してください。会員が行うダイビング活動は、それが商業目的であれプライベートであれ、「北マリアナ諸島全体のダイビング」のイメージに関わってきます。安全第一で行うようにしてください。

Ⅱ ダイビングの種類と資格

1.商業目的で行うダイビングは主に以下の種類があります。

a.体験ダイビング

Cカードを持たない人に水中案内をすることです。必要最低限の学科講習と技術練習をおこなった後に安全な海域を使用して行います。

b.ダイビングスクール

Cカードを取得することを目的とした人に各指導団体のカリキュラムに沿って開催されるダイビング活動です。学科講習、限定水域講習、海洋実習によって構成されています。

c.ツアーガイド

すでにCカードを所持しているダイバーに水中案内をすることです。ファンダイブとも呼ばれています。

2.各ダイビング活動をおこなうために必要な認定レベルは、指導団体の基準によって資格が定められています。許容されている以上の活動をおこなわないように注意しましょう。

Ⅲ 保険

CNMIの法律では、ダイビングの営業ライセンスを取る業者は、ダイビング保険に加入することが義務付けられています。 保険が期限切れになってしまっている、または無保険の人間をオペレーションに従事させてはいけません。

またボートに起因する事故や、送迎時に起きた自動車事故などもカバーしているか、保険会社に問い合わせることも重要です。 万一の事故の際に保険適用外の宣告をされないように、些細な事でも疑問点は明らかにしておきましょう。

Ⅳ 書式とログ記録

1.すべてのダイビング活動の前に参加者に書類を記入させます。 参加者情報と免責同意書を兼ねたものが一般的です。書式には最低限以下の内容を含めることを推奨します。

a.健康状態調査の項目(循環器系・呼吸器系・耳鼻咽喉系の項目を含む)

b.本人住所および連絡先・緊急連絡先

c.免責同意書・了解事項

健康状態に不備があるお客様には、医師の診断書を持参させるべきです。該当個所があることを知りながら診断書なしで受付けた場合、その疾患が原因で事故が発生すると業者は大きな責任を問われる可能性があります。

2.書類は最低1年間保存しましょう。すべてのダイビング活動は業務ログなどにより記録、保管しましょう。

3.すべてのダイビング活動の前には充分なブリーフィングを行ってください。これから行うダイビング活動の流れをダイバーに確実に理解させることが重要です。 法的なディフェンスのためには、ブリーフィングの内容を書いたスレートを携帯し、これを見ながら説明することが有効です。

4. もし危険なダイビング活動を行っている人を、見たり聞いたりした時には、必ず安全推進倫理委員会に連絡してください。 直ちに対策を取らないと事故が発生する恐れがあると感じられるときには、相手が誰であってもその場で注意しましょう。

第二条 ダイビング活動

Ⅰ 全てのダイビング活動で守るべきガイドライン

1.ダイビング計画は余裕のあるものにします。減圧停止の必要があるダイビング、予備の空気を必要とするダイビングを計画するべきではありません。

2.残圧に充分ゆとりを持った計画を立て(終了時に50bar残すことが望ましい)、コンディションが悪い時にはさらに安全のマージンを増やすことを心がけましょう。海況が悪い時にはエグジットに予想外に時間がかかることがあります。

3.引率するグループは最も技量の低いダイバーに合わせて計画を立てましょう。技量に差があるときには無理をさせずにグループを分けましょう。

4.30m以深へのダイビングを行う場合は、深くないポイントでの事前のチェックダイブを通して、ダイバーの技術レベル、体のコンディションなどを充分に見極め、人数比も通常より低く編成するなどの点に留意しましょう。「初日の1ダイブ目からいきなり深場へ」といったスケジュール編成は安全性が高いとは到底考えられません。

5.すべてのオペレーションには安全にダイビングできる海域を選択します。海況が悪いにもかかわらず、「せっかく来たんだから」「よそへ移動する時間が惜しいから」「お客様が入りたがっているから」などといった理由でダイビングを強行することは、厳に慎むべきです。海況があまりにも悪い場合には救助活動が行えない場合もあります。

6.お客様が充分なダイビング経験を持っていない場合、透明度にも注意しましょう。視界不良の状況下ではダイビングを中止する必要が出るかもしれません。

7.新任のスタッフを単独で海へ出すにあたり、事前にどの程度の時間をかけて教育するかは、各会員の良識ある判断に委ねますが、あくまでも安全をベースに心掛けましょう。時期尚早と思われるスタッフについては、安全推進倫理委員会から要追加教育勧告を出す場合もあります。

Ⅱ 体験ダイビングについてのガイドライン

1.インストラクター1名あたりのお客様の最大人数比は1:4とします。

2.法律にのっとり、オペレーションに際してはダイビングフラッグを掲げたフロートを使用しましょう。グループが水中を移動するときにはフロートも移動させます。

3.認定アシスタントを1名使った場合の人数比は、最大2:6とします。

4.認定アシスタントを2名使った場合の人数比は、最大3:8とします。アシスタントの数をこれ以上に増やしてもお客様の人数は8名を超えることはできません。

5.Cカード保持者が体験ダイビングへ同行する場合、体験ダイバーが4名を超えない範囲で合計6名までを最大人数とします。あくまでも全体をコントロールできる人数にとどめましょう。

6.体験ダイビングに何度も繰り返し参加した経験をもつ者であっても、これを認定ダイバーと同等として判断することはするべきではありません。団体によっては開催する水深にも規則があり、これを逸脱した範囲での事故については保険で補償されない可能性が大です。

Ⅲ ダイビングスクールについてのガイドライン

1.各指導団体のコース開催基準を遵守し、生徒には「コースの全ての知識、技術を確実にマスター」させたうえで認定するべきで、未修、未達成の生徒に対して「なんらかの条件付きで特別に認定」などを行ってはいけません。これは指導団体によっては明らかな違反行為となります。

2.インストラクターと生徒の人数比は最大1:6とします。

3.認定アシスタントを1名使った場合の人数比は最大2:8とします。アシスタントの数をこれ以上に増やしてもお客様の人数は8名を超えることはできません。

4.限定水域(コンファインドウォーター)講習をプールでなく海で行う場合には、プールと同等のコンディションの海域を選択してください。

5.水面に直浮上ができない場所では、海洋実習を行うことができません。グロットの「天井のない部分」での講習実施の可否は各指導団体に確認してください。

6.海では体験ダイビングと同様に、ダイビングフラッグ付きのフロートを設置して講習を行ってください。

Ⅳ ファンダイビングについてのガイドライン

1.ガイドとダイバーの人数比は最大で1:6とします。初心者が含まれる時はさらに低くし最大1:4とします。

2.ガイドに認定アシスタントがついた場合、お客様の人数は最大8名とし、ここに初心者が含まれる場合は最大6名とします。

3.ショップツアーなどの場合、そのショップの引率スタッフをお客様の人数に含めるかどうかは各会員の判断に委ねますが、認定アシスタントとしてみなすべきではありません。たとえインストラクターであっても、CNMIのワーキングパーミットを持っていない者は、法制上はあくまでもツーリストであり、これをアシスタントとして考えることは、万一事故などおきた場合に、非常に大きな問題となる可能性があります。

4.参加するダイバーが初心者の場合や、ブランクがある場合にはチェックダイブを行い、技量をたしかめてください。

5.申し込みの際にはCカードとログブックを確認しましょう。Cカードやログブックを持参しないなど、確認が取れないダイバーの場合は認定ショップ、インストラクターの確認をとるなど何らかの確認をしないと、法的ディフェンスの点で不備が生じる恐れがあります。

6.ブランク1年・経験本数20本未満の場合は、チェックダイブを奨励する。(チェックダイブの方法、内容は各ショップのスタッフに任せる)

7.ブランク1年、経験本数20本未満を初心者の定義とする。

8.以下の場合、グロットでのダイビングは行うべきではない。

a.初日1ダイブ目でのグロット。
b.初心者であり、なおかつチェックダイブを終了していない。

Ⅴ コンディション評価について

1.安全なオペレーションを行うために天候や海況の情報に気を配りましょう。最新の情報を収集し、コンディション評価に役立てます。

2.コンディションがダイビングに不適当なときには即時オペレーションを中止しましょう。状況判断の材料となる情報は各会員に伝達し、共有しましょう。

3.海況が悪いときには政府機関より海洋での商業活動を禁止する警報が発令されることがあります。このようなときには見た目の海況が潜水可能であってもオペレーションは中止しましょう。

4.二重事故の危険を避けるため、悪天候時にはレスキュー活動が行えないことがあります。無理なダイビングは非常に大きなリスクを伴いますので、くれぐれも慎みましょう。

Ⅵ レンタル器材に関するガイドライン

1.レンタル器材には日頃から充分なメンテナンスを行いましょう。器材の台帳を作成し、全ての器材の修理、点検状況を記録してください。

2.全ての器材に対して、貸し出す直前にスタッフによる作動確認を行いましょう。整備、修理作業にはメーカーによるリペアクリニック修了者など資格のある者が携わるようにします。

3.器材に貸し出しにあたってはお客様がCカードを持っていることを必ず確認するとともに、使用方法の説明を行ってください。

4.レンタルのレギュレーターには予備空気源、残圧計、水深計を必ず装備しましょう。

5.タンク及びコンプレッサーには法的な規制があるものがあります。個々の取扱のルールを厳守しましょう。

ボートオペレーション

Ⅰ 一般

1.操船に関わる者は、そのボートに見合った資格をもっていなければなりません。

2.乗合で使用するボート業者が正規のオペレーティングライセンスを持っているか、保険に加入しているかを事前に確認しましょう。確認ができない業者は使うべきではありません。業者についての情報は会員間で共有しましょう。

3.ボート業者との間に「利用に関する取り決め」を作り、文書化することで事後のトラブルを防ぎましょう。どこまでがボート会社の責任となり、どこまでがダイビングショップの責任となるか、特にアンカーリングの不備に起因する漂流事故や水中で頭上から落ちてきたアンカーによるケガなどの場合には責任が不明確になりがちです。

4.アンカーリングの際には、水面下のダイバーの安全に留意し、同時にサンゴなど水中環境の破壊を行わないよう注意しましょう。

5.ボート使用に関するブリーフィングには以下の内容を盛り込みましょう。

a.エントリー・エグジットの場所と方法
b.潜降・浮上ラインの使用法
c.禁止事項の説明
d.ダイバーリコールの方法
e.流されたときの緊急手順

6.法律の定める船舶の必要備品に加え、ダイビング用として次の備品を常備しましょう。

a.ダイビングフラッグ
b.酸素吸入器を含むファーストエイドキット
c.潜降・浮上用ライン
d.カレントライン
e.漂流時に使用する携帯用信号ブイ

Ⅱ ドリフとダイビング

1.補助エンジンと無線機のないボートではドリフトダイビングは行えません。またキャプテンおよびクルーと事前に綿密な打ち合わせを行う必要があります。近年ドリフトダイビング中の漂流事故が少なくありません。参加者全員が最上級レベルであることが必要です。

2.ドリフトダイビングではガイドからフロートを水面まで浮かべ、常にボート上からグループの位置が確認できるようにしましょう。

事故、救助について

Ⅰ 救助と協力

1.万一事故が発生した場合には、まず二重事故の防止に努めます。そして速やかに救助・協力にあたりましょう。

2.事態を最悪のものとしないため、他店スタッフにもすぐに手助けを求めましょう。居あわせたスタッフは惜しみなく協力をしましょう。

3.救助活動は警察および救急隊の活動を妨げないよう慎重に行います。中止・中断の指示があった場合にはそれに従います。

4.事故現場では責任者を決め、救助活動が混乱しないようにします。行方不明者捜索などのために水に入る場合は責任者に通知をし、上がったときには報告するなどし、常に全体の情報を把握できる者をおいてください。

5.酸素吸入器の取扱・CPR・ファーストエイドについて日頃から練習し、万一の場合に正確な手順で行えるように準備しておきましょう。会員ショップにはNMDOAより酸素吸入器が貸与されています。オペレーションの際には必ず携行するようにしましょう。

Ⅱ 事故情報、報告書の提出

1.自分が事故の当事者となった場合、また事故に遭遇したり目撃したりしたときには、速やかに事故情報を安全推進倫理委員会に報告し、事後には報告書を提出してください。書式はどのようなものでも結構です。

2.事故を起こした会員につきましては、理事会に出席していただき事故の報告を求める場合があります。